「ラクナ梗塞」とは脳梗塞の一つで日本人に発症事例の多い脳の循環器疾患です。
脳梗塞はがんに次いで多い死亡原因の一つですから、しっかりとした知識を持っておきたい病気なのです。
ラクナ梗塞の原因にはさまざまなものがあり、多くは生活習慣の乱れが関係しています。
発見が遅れがちで後遺症の心配もある、ラクナ梗塞の原因や症状について詳しく解説しています。
ラクナ梗塞とはどんな病気?
「ラクナ梗塞」という病名はあまり有名ではありませんが、”脳梗塞”ならばどんな人も聞いたことがあるはずです。
ラクナ梗塞はその脳梗塞の一種で、脳の血管に血栓が詰まることで脳細胞にダメージを与える疾患なのです。
脳梗塞患者全体の約半数ほどが、ラクナ梗塞だと言われていて、他の血管系の病気と同じく年齢が高くなるに従い発症率も高まります。
ラクナ梗塞は死に至る病気
”脳梗塞”には2つの種類が存在します。
延髄辺りにある太い動脈が血栓で詰まる「アテローム型血栓」と、脳中枢付近の極細の血管が詰まる「ラクナ梗塞」の2つです。
アテローム型は欧米の人に多く、死に至る危険度はこちらの方が上です。
また、血栓の生まれ方にもいくつかの系統があり、脳内血管そのものが動脈硬化を起こして血栓が作られるケースと、心臓やその他の部分の血管が起こした動脈硬化によって脳に血栓が運ばれてきて詰まるケースがあります。
予兆の判別が難しい
ラクナ梗塞は予兆の判別が難しいことで、発見が遅れやすいという特徴があります。
他の脳梗塞や脳出血などと同様に、ラクナ梗塞もまた早期発見ができなければ危険な状態に陥ることになるのです。
太い血管に血栓が詰まるアテローム型とは違い、ラクナ梗塞は脳の深い場所にいくつも血栓詰まりが多発してしまいます。
ラクナ梗塞は死亡率が低い脳梗塞ですが、発見と治療が遅れてしまうと、その後に起きる後遺症も重く残ってしまう結果となるのです。
精密な診断をするには?
ラクナ梗塞は脳内の中を通る極細の血管に血栓ができる病気ですので、「CTスキャン」で診断することが基本です。
脳梗塞の状態があまりに小さくCTスキャンでも発見できない場合にはMRIで再検査することもあります。
どちらにしろ素人判断は難しく、専門知識のある医療施設で診察してもらうことが大切です。
知っておきたいラクナ梗塞の症状
ラクナ梗塞が重度になると、脳疾患特有の症状を表すようになります。
意識障害がほとんどないことから緊急性を感じませんが、前項でも書いたように後遺症の重さが違ってくるのです。
特徴的な症状を知っておき、異変を感じたらただちに病院にかかれるようにしておきたいところです。
ラクナ梗塞の特徴的な症状は?
ラクナ梗塞ではどのような症状が現れるのでしょうか?
以下がラクナ梗塞で現れる特徴的な症状です。
ラクナ梗塞の症状
- 軽い言語障害が起きる
- 手や足にしびれを感じる
- 手や足に麻痺を感じる
- 眼球運動に違和感や障害を感じる
これらは一度にすべてが起きるというわけではありません。
脳内の血栓が詰まる場所によって現れる症状にも違いが生じるのです。
非常に軽微な症状のために、事前によく理解しておく必要があります。
症状が進行してしまうと・・・
ラクナ梗塞が発症し、そのまま放置してしまうと「認知症状」が現れる可能性が高まります。
認知症には「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」の2種類があり、日本人は後者のケースが多く、これも日本人がラクナ梗塞を発症しやすいということが起因しているのです。
ラクナ梗塞の原因として考えられるもの
ラクナ梗塞は脳の血管内に血栓が詰まる病気ですので、生活習慣病の一つとして捉えていただいて差し支えありません。
生活習慣病・循環器疾患になる原因が、ラクナ梗塞の原因だとも言えるのです。
また、生活習慣病の進行とともにラクナ梗塞が発症するパターンも少なくありません。
知っておきたいラクナ梗塞の原因
ラクナ梗塞の原因は以下のようなものです。
ラクナ梗塞の原因
- 遺伝
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満
- 過食、飲み過ぎ
- 運動不足
- 喫煙
ラクナ梗塞には遺伝的な要因もあるようですが、ほとんどは日頃の生活習慣から引き起こされると考えられたいます。
逆に言えば「予防できる疾患」ですので、普段の努力で防ぐことができるのです。
この中でとくに気をつけたいのが「高血圧」です。
高血圧が持病となって長期間続いてしまうと、脳内の細い血管にダメージを与え続けることになります。
血管は細い部位ほど傷つきやすい性質があるので、高血圧はできるだけ早く改善させておくことが大切なのです。
高血圧の原因となる塩分摂取に注意
ラクナ梗塞の原因の中でとくに注意をしたい高血圧は「塩分摂取」に注意が必要です。
日本人は先進国の中でもとくに塩分摂取が多く、理想とされる量「6g」をはるかに超える10gも摂取しているそうです。
全体的なカロリー制限だけではなく、塩分摂取を意識することが高血圧予防には大切なことです。
また、塩分摂取量を控えるとともに「カリウム」を摂り、体内に滞留している余剰な塩分を排出させる工夫もしましょう。
カリウムを多く含む食品には・・・
- 魚介類
- 大豆製品
- りんご
- キウイ
- バナナ
- ほうれん草
などがあります。
ラクナ梗塞発症後の後遺症について
ラクナ梗塞を発症すると、完治する人は2割程度で6割の人にはなんらかの後遺症が残ります。
血栓の詰まりが起きた脳の部位によって、後遺症の種類も変わるのです。
ラクナ梗塞の後遺症例
ラクナ梗塞の後遺症例は次のようなものがあります。
- 目の障害(視野が狭くなる、物が二重に見えるなど)
- 感覚麻痺(触覚や痛覚が鈍くなる・敏感になる。しびれる)
- 運動麻痺(手や足が思うように動かすことができなくなる)
- 構音障害(ろれつが回らなくなる)
- 嚥下障害(食べ物が飲み込みにくくなる)
- 高次機能障害(記憶・注意・認識・言語などに障害が現れる)
脳は人間の行動や意思・思考などすべての活動に関係する臓器ですので、血栓によって血流が奪われダメージを受けることで数えきれないほどの後遺症を残す結果になるのです。
後遺症の治療方法
ラクナ梗塞の治療が完了し、後遺症が残った場合には「リハビリ」によって治療を始めます。
ただし、脳梗塞後の後遺症は複雑な要因が関係するので、骨折や人体損傷後のリハビリよりもさらに精度の高いトレーニングが必要になります。
上に挙げた各後遺症の部位別に、それぞれの専門家がリハビリにあたり、失った機能を運動などによって取り戻していきます。
ラクナ梗塞は再発しやすい
ラクナ梗塞は施術によって治療し、リハビリで失った感覚を取り戻しても、病気の原因を取り除けたわけではありません。
ラクナ梗塞の原因の多くは、食生活などの生活習慣にあるので、そこを改善しないと再発の危険性があるのです。
完治した人の20~30%ほどが再発するという統計もあり、これは病気の再発率としてはかなり高いものだと言えます。
早ければ1年以内に再発するケースもあるといいますから、医療施設での治療が終われば、すぐに生活習慣の改善を始めることが大切です。
そして脳梗塞は再発を繰り返すほど危険性が高まり、後遺症も重度になる傾向にあります。
またラクナ梗塞の発症後にアテローム型の脳梗塞が起きるリスクも高まることがわかっているのです。
まとめ
がんに次いで日本人の死亡率に挙げられる生活習慣病などの循環器疾患は、さまざまなタイプがあり複雑な経路で大病化します。
しかし、表面的に現れる症状のバリエーションは多いのですが、その原因は限られているのです。