生活習慣病の原因ともなる動脈硬化は、血管年齢を測定することである程度推測することができます。
動脈硬化は1日でも早く発見し対処することが大切ですから、自分の血管年齢の結果を把握することは必須です。
とくに中年期以降の方や生活習慣が乱れている人、ストレスの多い人などは一度計測しておくことをおすすめします。
血管年齢ってどんなもの?
人体の生体活動においては「血液の流れ」はもっとも重要なものです。
血液には全身に酸素や栄養素・ホルモン・酵素などを運搬し、廃棄物を回収して体外に排出するといった役割があります。
そしてその血液が流れる場所が血管であり、実は幼少期からすでに”劣化”は始まっています。
血管が劣化していくと、血管内にプラーク(脂肪やコレステロールの塊)ができて血流を悪くするのです。
これを「動脈硬化」といい、動脈硬化が進むと血管年齢の測定値が高くなっていきます。
また、血管細胞そのものが固くなって老化することもあります。
この場合には高血圧といった症状が現れやすくなりますが、これも血管年齢が高くなった状態だと言えます。
どちらの場合にも血液の粘度が高まり、「ドロドロの状態」を長く続けることが原因の多くを占めているようです。
長年の生活習慣によって血管年齢には個人差があり、実年齢が若くても安心はできません。
見方を変えれば、血管年齢の高さが健康状態と比例すると言っても過言ではないのです。
血管年齢が高くなると心配なこと
現代の日本人の死因のガンについで2番目に位置するのが「生活習慣病」から引き起こされる循環器(血管・心臓など)疾患です。
動脈硬化自体は血管の状態を指し示す言葉ですが、動脈硬化が進むことによって致命的な大病を誘引してしまうのです。
脳梗塞や脳卒中・心筋梗塞・心不全・狭心症といった大きな疾患は、動脈硬化が進んで血管年齢の測定値が一定ラインを超えてしまった後に現れる病気です。
日本人を苦しめる病気の多くに血管年齢が関係しているのです。
会社に勤めている人ならば定期的に健康診断を治療していると思いますが、やはり血液と血管・心臓などの循環器系のチェックが検査の主体となるのです。
血管年齢が高くなる理由
では、血管年齢はどういった理由で高くなってしまうのでしょうか?
検査によって血管年齢を測定した人に共通するのは以下のようなものです。
〈血管年齢が高くなる理由〉
- 不規則な生活スタイル(寝不足・夜更かしなど)
- 食生活の乱れ(栄養不足・暴飲暴食・偏食など)
- 嗜好品の摂り過ぎ(喫煙・飲酒・カフェインなど)
- 運動不足
- ストレスを多く受ける生活
どれも決定的に「悪い生活」というものではなく、誰の生活にもある要素ばかりです。
ですから、血管年齢が高くなり動脈硬化になるということは、すべての人に当てはまることだとも言えます。
とくに注意したいのが「ストレス」です。
ストレスは漠然としてして、自分が受けている度合いを知ることは難しいのです。
悩み事などがなくてもストレスは蓄積することがあるので、食生活や生活スタイルを改善しながらカバーしていくという考えが大切です。
血管は若返らせることができる
高くなってしまうと、健康にとって非常に危険な状態になってしまう血管年齢ですが、若返らせることはできます。
上記に挙げた「血管年齢が高くなる理由」の要素をひとつひとつ改善していけば、徐々に血管は元の健康な状態に戻ってくれるのです。
血管は他の体の部位と同じように自然治癒能力があり、健康的な生活を送ることで修復されていきます。
また致命的な症状が現れていない人ならば、正しい生活改善を行えば、数ヶ月で症状は改善していくはずです。
まずは自分の現状の血管年齢を知るところから始めることが大切です。
血管年齢の測定の仕方
では実際に、自分の血管年齢を測定する方法を紹介します。
体の内部のことを調べるのですから、大きな医療機器を使って専門的な検査が必要だと思われていますが、意外に検査自体は簡単なものです。
人間ドッグや健康診断などで本格的な検査をする必要もなく、血管年齢のみを測定する方法があります。
血管年齢の測定方法
血管年齢の測定器はごく小さなもので、医療団体などがキャンペーンなどで街角で実施していたりもします。
よく電気店や病院の一角に、血圧計が設置されているのを見かけますが、雰囲気的にはあれと同じような機器を使います。
血管年齢の測定方法にはいくつかの種類があり、それぞれの観点から血管の老化状態を調べることができます。
加速度脈波系検査
加速度脈波系検査は、小さなディスプレイの前に座って洗濯ばさみ状の計測器を指の先に付け計測します。
心臓がドクンと脈打ち血液を押し出したあと、その血液が指先までに達する時間と、その逆に心臓に戻される時間を計測することで、血流の状態を知ることができます。
血管壁がきれいで血管細胞が柔軟であれば、血液は早く流れることになります。
この測定の後に実年齢や性別など簡単な情報を入力すれば、血管年齢は測定できます。
全体的な「血流量」を知ることができる測定法です。
CAVI
「CAVI」とは(心臓足首血管指数)とも呼ばれ、動脈の脈拍を数箇所に分けて測定することで、動脈の老化状態を知ることができます。
両腕と両足に測定器をつけて調べます。
CAVIは、血管がしなやかな柔軟性を保っているかを測定する方法で、血管そのものの年齢を知ることができます。
ABI
「ABI」とは(足関節上腕血圧比)と言い、その名称通り、足首と腕の”血圧比率”から血流を測定して血管の状態を知る検査方法です。
とくに下半身の血液の流れ度合いが分かり、血管の詰まりなどを知ることができる検査方法です。
動脈内にプラーク(脂肪やコレステロールの瘤)ができている場合には、この検査で推測することが可能です。
セルフチェック法
血管年齢は医療施設に頼らなくてもある程度セルフチェックすることも可能です。
血管年齢のセルフチェック法は、大きく2つの方法に分類されます。
1)チェックシートを利用する
現在の自分の生活状態・健康状態などをチェクシートを使って調べます。
- 喫煙している
- 食べ物の味が濃い
- 甘味料を多く摂る
- 運動不足だ
- 夜更かしをよくする・朝起きられない
- 肉料理を好み魚を食べない
- 間食を良くするほうだ
- 完璧主義でせっかちな性格だ
- 睡眠時間の平均が1日6時間より短い
- 食事を早く食べる傾向がある
- 夜食を食べたり夕食の時間が遅い
- 老けて見られることが多い
これらの項目にたくさん当てはまるほど「血管年齢が高い」という指数になります。
正確な数値は算出できませんが、医療施設での問診でも利用されるチェック方法ですので、一度試してみましょう。
2)個人用計測器を使う
前述した「加速度脈波測定」に使われる機器は、個人で購入することができます。
2~3万円程度でも性能が高く、正確な数値を測定できるものもあるので、1つ購入するのも良いでしょう。
実際にネット通販では人気が高く、健康に気遣う人が購入しているようです。
また最近では、スマホのカメラを利用して血管年齢を測定する「アプリ」などもあるようですが、現在のところ、精度に賛否両論あります。
近い将来専門機器並みの性能になると期待されています。
無料のものを”参考までに”使用してみてはいかがでしょうか?
この記事のまとめ
血管年齢の測定は、高いレベルの健康管理ができるため、多くの人にとりいれることをおすすめします。
BMIや体脂肪率の測定と組み合わせることで、さらに自分の体がどんな状態になっているかを精密に把握することができるのです。
現在体に不調を感じている人ならば、当てずっぽうの健康法を始めてもあまり効果は期待できません。
健康の要である血管年齢をまず測定し、その結果から逆算して生活改善のプログラムを考えましょう。