血圧は1日の中でも上がったり下がったりと変動を繰り返しますが、そもそも血圧はどのような仕組みで上がるのでしょうか?
今回は、血圧が上がる原因と仕組みについてご紹介したいと思います。
血圧が上がる要因は5つ
血圧が上がる原因には大きく分けて以下の5つの要因があると言われています。
1.心拍出量
2.末梢血管の抵抗
3.循環血液の量
4.血液の粘度
5.大動脈の弾力
それでは、1つずつどのよな仕組みで血圧が上がるのかをみていきましょう。
心拍出量
心拍出量とは心臓(心室)から1分間にどれくらいの血液量が送り出されているのかを示した値のことです。
また、心臓がドクンドクンと収縮することを拍動を言い、平均すると1日で約10万回も拍動が起こっているのですが、この1回の拍動が強くなれば強くなるほど拍出量(1回の拍動で血液を送り出す量)が増え、その結果血圧が上昇します。
末梢血管の抵抗
血液が末梢血管に流れる際に、抵抗が大きくなればなるほど血液の流れがスムーズでなくなり血圧が上昇しやすくなります。
また、心臓が強く血液を送り出してしまうことで、細い血管が圧力をうけてさらに血圧が上がってしまうのです。
ちなみに、末梢血管の抵抗はストレスを受けたりすると大きくなります。
循環血液量
体内を流れる血液の量のことを循環血液量といいますが、循環血液量が多くなればなるほど血圧が上がりやすくなります。
循環血液量の多さは塩分とも関連しており、塩分を取りすぎると体液の濃度を保つために血管内の水分が多くなり、循環血液量が増えてしまうのです。
高血圧の人が塩分を控えなければならないはこのためでもあるのです。
血液の粘度
血液がサラサラであれば血管内をスムーズに流れますが、血液が粘っていると流れがスムーズではなくなるため血圧が上がってしまいます。
また、流れにくくなった血液を流そうと、心臓から送り出される血液の量が多くなることでさらに血圧が上がってしまいます。
ちなみに、血液は液体部分の血漿と、赤血球等の固形成分の2つに別れていますが、固形成分の割合が多くなればなるほど粘り気が強くなります。
大動脈の弾力
大動脈とは心臓の左心室から出ている身体の中心部を通っている最も太い血管のことで、正常であれば弾力性と柔軟性があるのですが、動脈硬化等により血管壁の弾力性が低下することで血圧の上昇につながってしまいます。
心拍出量と末梢血管抵抗と自律神経の関係
ご紹介した5つの要因の中でも最も血圧の上昇と関係が大きいのが、心拍出量の増加と末梢血管の抵抗です。
この2つは自律神経とも比重に深い関係があり、副交感神経が活発になっていると心拍出量が減って、末梢血管の抵抗が少なくなるため血圧が下がるのですが、交感神経が活発になっているときは心拍出量が増加し、末梢血管が収縮するので血圧が上がってしまうのです。
血圧上昇につながる生活習慣
血圧を上げてしまうには様々な生活習慣が関連しています。
普段何気なく行っていることや、生活習慣が血圧を上げてしまうきっかけになることもあるのです。
それでは、一体どのような生活習慣で血圧が上がってしまうのでしょうか?
喫煙は血管を収縮させて血圧が上昇
喫煙は百害あって一利なしとよく言われますが、喫煙は血圧を上昇させてしまう要因の1つになります。
喫煙は血管を収縮させて血圧を上昇させてしまう作用があり、ヘビースモーカーの場合上昇した血圧が下がりきらないうちに次の1本を吸ってしまうためどんどん血圧が上がっていきます。
また、喫煙は動脈硬化を引き起こし血管の柔軟性を消失させてしまいます。
喫煙は血圧以外にも様々な病気を引き起こしてしまう要因になるので、なるべくタバコは吸わないようにしましょう。
ストレスは交感神経を活発にして血圧を上げる
強いストレスを感じると交感神経が活発になり、血管を収縮させることで血圧の上昇を引き起こします。
また、アドレナリンやノルアドレナリンといった血圧を上げる作用のあるホルモンの分泌量が多くなることで血圧が上がるのです。
ストレスの多い生活習慣を送っている人は、なるべくリラックスするように心がけましょう。
塩分の多い食事
塩分の多い食事により体液中の塩分濃度が増えてしまうと、体が塩分の濃度を薄めようとして体液中の水分量が多くなることで血液が増えて血圧の上昇につながるのです。
特に、日本人の塩分摂取量は世界的に見ても多いと言われているので、血圧が高い方は一度食生活を見直してみましょう。
過度のアルコール摂取で血管が収縮
アルコールを摂取すると血流が良くなるため血圧が下がるのですが、過度にアルコールを摂取すると反対に血管を収縮させてしまい血圧が上がってしまいます。
また、アルコールを毎日のように飲んで習慣化してしまうと、慢性的な高血圧を引き起こしてしまうこともあります。
適度な少量のアルコール摂取は構いませんが、飲み過ぎには十分に注意しましょう。
血圧上昇は命に係わる病気を引き起こす
血圧が高いと何故いけないのかというと、命にかかわる合併症を発症するリスクが高くなるからです。
高血圧は、脳、腎臓、心臓、主要な臓器に合併症を引き起こしてしまう可能性があります。
例えば、脳であれば動脈硬化が主要な原因となって発症する「脳出血」、「脳梗塞」、「クモ膜下出血」等の重大な脳疾患を誘発してしまいます。
さらに、腎臓の病気では「腎硬化症」から腎不全を引き起こしてしまったり、心臓の病気では「狭心症」、「心筋梗塞」、「心不全」等の重篤な疾患になるリスクを高めてしまうのです。
このような生命にかかわるような疾患を予防するためにも、血圧が高くなってきたと感じたら早期に発見して血圧をコントロールすることが非常に重要になってきます。
おわりに
高血圧症は日本人に多くみられる生活習慣病ですが、血圧の上昇は普段の生活スタイルや食生活を少し改善するだけでも改善することが出来ます。
血圧が上昇するのは様々な要因が絡み合っおり、健康な人でもちょっとしたことで血圧が上がってしまうことがあります。
血圧の上昇は生命にかかわる様々な病気を引き起こす引き金にもなるため、血圧が上がらない方法を勉強したり、必要に応じて医師に相談したり治療を行う等して対策をとるようにしましょう。