生活習慣病の引き金ともなる動脈硬化・・・。
血管にまつわる症状の本質的な原因とも言われています。
そして、動脈硬化が進行すると、足の血管が詰まることで、かなり危険な状態になるケースがあります。
足や手の動脈に起きる「閉塞性動脈硬化」の詳細について解説いたします。
足の血管が詰まる動脈硬化
「動脈硬化」は全身にある動脈の内側に脂肪やコレステロールの汚れが付着したり、血管そのものの柔軟性が失われる症状のことを言います。
血管内にできたコレステロールのコブは血液の流れが悪くし、そのコブが剥がれると”血栓”となり、血管内に流れ出してしまいます。
血栓は血管ないの細い部分や交差点で詰まり、甚大な健康被害を及ぼしてしまうのです。
この血栓は体のあらゆる部分で血流の障害物となり、動脈では「脳梗塞」「心筋梗塞」、静脈では「深部静脈血栓症」「腎臓静脈血栓症」「肺血栓閉塞症」といった症状を引き起こします。
この血栓は足の血管に詰まることも多く、足で詰まった場合には「下肢抹消動脈閉塞症」という病気になります。
足は人体の最も低い場所にあり、重力の影響で血液を心臓に返すことが他の部分よりも難しく、血流が悪くなったり、運動不足で筋力が低下すると、上半身に血液が送られにくくなるので詰まりやすいのです。
下肢閉塞性動脈硬化症の中で多いのが「閉塞性動脈硬化」です。
閉塞性動脈硬化症の症状
足の血管が詰まる「閉塞性動脈硬化症」になると、歩行のときに足が痛くなります。
これは、足の血管に血栓が詰まることで、血流が悪くなり酸素が運ばれなくなることが理由です。
閉塞性動脈硬化が進行すると、立っている状態やリラックスして座っているような状態でも痛みを感じるようになります。
閉塞性動脈硬化症というと、”血管の病気”ということで内蔵などに症状が現れると思い込まれている人が多く、足に痛みを感じたりしても気づかれにくいのです。
閉塞性動脈硬化症は、緊急を要する事態にもなりかねない病気ですので、正しい知識を前もって知っておくことが大切です。
次のような症状がないかチェックしてみましょう。
〈閉塞性動脈硬化症の症状〉
- 足の痛みがある
- 足がだるく脱力感がある
- 麻痺を感じる
- 足の感覚がおかしい・低下している
- 足の一部が紫色になっている
- 足に傷を追うと治りにくい
これらの症状が見られる場合には、閉塞性動脈硬化症が足に起きている可能性があります。
そしてこれらは「初期症状」ではなく、かなり動脈硬化が進行して起きるので、異変を感じた場合はすぐに病院を診察しなくてはなりません。
閉塞性動脈硬化が進行すると・・・
閉塞性動脈硬化症はさらに進行してしまうこともあります。
足の血管が詰まり動脈硬化症になると、「心臓」や「脳」といった場所にも血栓が詰まる可能性が高くなります。
そうなると命取りになるような状態に陥ってしまうので、治療を急ぐ必要があるのです。
また、足部分の血管の詰まりが悪化してしまうと、足に酸素や栄養が運ばれず、また老廃物を排出できず「壊死」してしまうケースもあります。
壊死した足は切断しなければならないケースも少なくありません。
血管という人体の生体に重要な器官が本来の働きをしなくなると、致命的な結果を招く事態に発展するのです。
閉塞性動脈硬化症になりやすい人の特徴
閉塞性動脈硬化になりやすい人は、食生活を含む生活習慣の乱れた人がなりやすいようです。
閉塞性動脈硬化症は「生活習慣病」の分類されるのも、こういったことが理由なのです。
ただし、ストレスなどの精神衛生面での影響も少なくないことから、予防をするためには生活の質全体をチェックする必要があります。
以下に閉塞性動脈硬化症になりやすい人の特徴を挙げておきます。
閉塞性動脈硬化症になりやすい人
次の項目に当てはまらないかチェックしてみましょう。
- 糖尿病の人
- 肥満気味の人
- 高血圧の人
- 動物性脂肪を好み、野菜の摂取が少ない人
- 暴飲暴食傾向の人
- 喫煙習慣のある人
- カフェインなどの嗜好品を多く摂る人
- 運動不足の人
- ストレスを多く受けている人
閉塞性動脈硬化症は、「食事」「運動」「ストレス」の3つの要素に分けてチェックするとよいでしょう。
とくに注意しなければならないのが、”糖尿病”にかかっている人です。
血糖値が高いとどうしても血液がドロドロになりやすく、血管にも不具合が現れがちです。
糖尿病患者の多くに動脈硬化を併発することからも、そのことは明らかなのです。
まずは糖尿病の治療を中心に、閉塞性動脈硬化症の予防にも意識を向けましょう。
閉塞性動脈硬化の治療と予防
閉塞性動脈硬化症は、進行すると重病化しやすいので、一定レベルを超えたら迷わず病院で治療することをおすすめします。
動脈硬化や閉塞性動脈硬化症は「沈黙の殺人者(サイレントキラー)」の異名を持つほど、重病化するまで自覚症状が現れない疾病です。
医療知識のない一般の人では判別ができないので、定期的な検診を習慣にしましょう。
医療施設での治療法
閉塞性動脈硬化症で病院を受診すると、以下のような治療が行われます。
〈閉塞性動脈硬化症の治療法〉
- 血管拡張剤・血栓形成抑制剤の投与(点滴)
- 内科治療
- カテーテル治療
- 外科手術(バイパス手術)
上記の下に行くほど重症の治療になります。
最近ではカテーテル技術が進歩していますので、かなりのレベルまで外科手術なしでも対処できるようです。
これらの医療的な処置に加えて、食生活や生活態度の改善なども同時に指導されます。
閉塞性動脈硬化症は治療もさることながら、日々の生活の中で血管に与えるマイナス要因をいかに排除するかが大切なのです。
閉塞性動脈硬化症の予防
閉塞性動脈硬化症の予防は、生活習慣病やメタボ検査で医師に指導される生活指導とほぼ一致します。
つまり「いかに血液と血管をきれいに維持するか」ということに集約されるでしょう。
これは先進国で暮らす私たちの社会が抱える問題でもあり、最近では生活習慣病も若年化しているとも指摘されているので、病気が発症するもっと前から注意したいものです。
〈閉塞層動脈硬化症の予防〉
- 暴飲暴食をやめる(カロリー制限をする)
- 喫煙を控える、禁煙する
- 飲酒を控える、禁酒する
- 運動を取り入れる(有酸素運動)
- ストレスを溜め込まないように注意する
- 睡眠の質を高める(昼夜逆転や夜更かし、睡眠不足に気をつける)
これらはどの医師も患者に対して行う指導であり、検査医などはあまり深刻な口調で述べられませんが、だからといって楽観視してはいけません。
先ほども述べましたが、動脈硬化は知らないうちに悪化し自覚症状が出ないことが多いようです。
本人が「病気を完治させるという動機が持てない」ことも多いために、何年も潜伏し影で悪化することが非常に多いのです。
しっかりとこの疾病の性質と怖さを認識しておくことが大切です。
足への二次被害に気をつける
下肢に閉塞性動脈硬化症が起きると、細菌の感染に最大限の注意が必要です。
免疫力や自己治癒力が格段に低下してしまうので、皮膚のほんの小さな怪我や深爪などから細菌が体内に入り込むとなかなか完治せず悪化することが多いのです。
傷が重症化してしまうと、最悪の場合足が「壊死」し、切断を余儀なくされるという事態にもなりかねません。
そうならないために、閉塞性動脈硬化症と診断された人は次のような注意を心がけましょう。
- 常に足(脚)を清潔に保つ
- 水虫がある場合には医療施設で治療をする
- 深爪や巻爪に注意(巻爪は病院で治療する)
- 締め付ける靴、合わない靴を履かない
糖尿病にかかった人が足を切断する事例はめずらしくありませんが、これも閉塞性動脈硬化症を併発しているためです。
また、足だけではなく体に傷がついた場合に「治りが遅い」と感じたらすぐに血管の検査することをおすすめします。
この記事のまとめ
足の血管が詰まる症状「閉塞性動脈硬化症」は、足の部分だけに意識を向けていては予防も改善もできません。
動脈硬化は局部的ではなく、全身に関係する病気の現れです。
毎日の生活習慣や精神状態などをチェックし、全体の健康状態が改善されるよう、生活を改めましょう。