動脈硬化や糖尿病・高血圧などの生活習慣病の原因となるのが「血流の悪化」です。
血液は生体機能を維持するための要となりますから、血液と血管をきれいにしておくことは健康の基本なのです。
血流が悪化して血管障害に陥らないためには、普段からの「食生活」が大切です。
血液と血管を汚さないために、血流を良くする食べ物を知っておきましょう。
血流を良くする食べ物・悪くする食べ物
血流が悪いとさまざまな病気になってしまうことは、医療知識のない方でもなんとなく理解しているはずです。
反対に、病気を予防するためには「血流を良くする食べ物」をたくさん食べることが大切なのです。
以下に「血流を良くする食べ物」「血流を悪くする食べ物」に分けてご紹介します。
血流を良くする食べ物
野菜や穀物
野菜と穀物には多少の差こそありますが「食物繊維」が含まれています。
体の中で消化されない食物繊維は、血液を汚す原因になるコレステロールを体の外に押し出してしまう作用があります。
また、食物繊維が不足すると腸内環境が乱れて便秘になりやすくなりますが、便秘も血液をドロドロにして血流を悪化させる原因になるのです。
緑黄色野菜
緑黄色野菜には「βカロテン」が含まれ”抗酸化作用”があります。
抗酸化作用とは、体内で発生する活性酸素という、血液をドロドロにする物質を無毒化してくれる働きがあります。
ポリフェノールを含む食品
「ポリフェノール」とは、前項の緑黄色野菜と同様に抗酸化作用があります。
ぶどうや緑茶・ソバ・玄米・豆類・果物に多く含まれ、色の濃い野菜に多い特徴があります。
青魚(DHA・EPA)
青魚には不飽和脂肪酸(DHA・EPA)が多く含まれています。
不飽和脂肪酸は善玉コレステロール(HDL)であり、悪玉コレステロール(LDL)を回収して体外に排出する働きがあります。
血管壁を詰まらせ、血流をどんどん悪化させてしまう原因がコレステロールですので、青魚は血液のための健康食だと言えます。
魚も「動物性たんぱく」ですから、血液を汚すと勘違いされていますが、実は逆なのです。
ネギ類
玉ネギやらっきょう・青ネギ・白ネギ・ニラなどのネギ類には「硫化アリル」と呼ばれる成分が豊富に含まれています。
あの、つんっと鼻をつくような匂いの成分です。
にんにくや生姜にも硫化アリルは含まれています。
硫化アリルは血液が固まるのを防ぎサラサラにすることで血流が良くなる食べ物の代表なのです。
納豆
納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」は、病院で処方される治療薬に匹敵するほどの”血栓溶解作用”があります。
血管壁がきれいになることで血流を良くしてくれます。
血流を悪くする食べ物
いくら血流を良くする食べ物をたくさん食べていても、その反対の「血流を悪くする食べ物」が上回ってしまては意味がありません。
以下の血流を悪化させる食べ物に注意しましょう。
肉類
牛肉や豚肉・鶏肉などの動物性脂肪を含む食べ物は、血流を悪くする食べ物の代表格です。
特に肉類に含まれる脂肪分が高いほど、血管と血流には悪いのです。
乳製品
肉ではなくても「乳製品」も動物性脂肪が多く含まれているので注意が必要です。
マーガリン・菓子類・揚げ物
マーガリンや菓子類・揚げ物などの加工した油には「トランス脂肪酸」という成分が多く含まれています。
トランス脂肪酸は、体内に活性酸素を多く排出し、血液をドロドロにしてしまうのです。
とくにマーガリンなどは世界中の先進国では販売が禁止される危険な成分です。
なぜか日本では普通にスーパーで売られているので、注意したいところですね。
砂糖
砂糖をたくさん食べると血糖値が上がり、その状態が長く続くと血管がぼろぼろになります。
柔軟性を失った血管では血液をうまく流すことができず、結果血流を悪化させてしまうのです。
アルコール類
アルコールは血管に対して”諸刃の剣”だと言えます。
少量ならば血管を拡張して血流を良くしますが、習慣化してたくさんの量を毎日飲み続けると、血管を固く硬化させてしまい、血流が悪くなります。
アルコール障害の代表である「高血圧」は、血管が固くなったところに血液が流れることで起きる症状なのです。
血流の悪化が原因で起きる病気
私たちの体に流れる「血液」は、酸素や栄養素・ホルモン・酵素などを運搬し、反対に使い終わった老廃物を体外に排出するという、命にかかわる仕事をしています。
この血液がドロドロになったり、血管に障害が現れて血流が悪化することで、さまざまな病気を引き起こす原因になるのです。
血流が悪くなると起きる病気
血流が悪くなることで起きる、治療が必要な病気を見てましょう。
〈血流が悪くなることで起きる病気〉
・動脈硬化
・脳梗塞、脳出血、脳血栓
・虚血性心疾患
・高脂血症
・糖尿病
・肝機能障害
・痛風
これらは重病化すると命に関わるものです。
血流が悪いと起きる症状
病院にかかる病気まででなくても、血流が悪化することで現れる身体的な症状がいくつかあります。
こういった身体からのシグナルをしっかりと把握しておくことで、大きな病気に進行することを防ぐこともできます。
〈血流が悪くなると現れる症状〉
・肩こり
・頭痛
・冷え性
・体がだるい
・めまい・ふらつき
・白髪が増える
・男性機能の低下
・目のかすみ
これらは”病気”とまではいきませんが、血液が体にうまく循環しないことで起きる症状です。
ただし「病気ではない」という判断は、西洋医学を中心とした近代医療(病院)での判断です。
漢方の考えでは、これらの症状が見られる場合には「すでに病気になっている」と考えられ、適切な処置を施すことが一般的ですので楽観視はできません。
長期間このような症状が現れている場合には「生活習慣病予備軍」だとも言えるのです。
血流悪化の原因は食生活がすべて?
ここまで解説してきた、生活習慣病を引き起こす原因である血流の悪化は「食生活」がすべての原因なのでしょうか?
実はそうとも言い切れないのです。
血液と血管の健康は、人間の生活の中のさまざまな要素から影響を受けていています。
食生活と共に気をつけたい生活習慣を覚えておく必要があります。
生活習慣病になる要因(運動・睡眠・ストレス)
食生活以外で血流を悪化させてしまう行為・習慣を見てみましょう。
運動不足
運動をして心拍数が上がると、心臓から送り出される血液の量が何倍にも増えます。
この”ポンプ作用”は、血流を高めて血管壁を掃除できるまたとないチャンスなのです。
肥満体質でも体力のある人とない人がいますが、これも血管壁の汚れの度合いが関係しています。
普段から運動不足で血液を汚す食生活を送り太っている人は、血流が悪く持久力も体力も低下してしまうのです。
ストレス
意外なものでは「ストレス」が血流に関係しています。
前項で”活性酸素”という毒素が血液とドロドロにしてしまうと述べましたが、活性酸素は”精神的なストレス”によっても発生します。
これが顕著に分かる例として、大きな悩み事や身内の死によって深い悲しみを感じると、ストレスが発生します。
そういった精神的なダメージを受け続けている人に「白髪」「薄毛」が出やすいことはよく知られることですね。
髪の色にも血流が影響します。
髪の成長もまた、頭皮の毛細血管へ血液が流れ、酸素や栄養分を運ぶことによって維持されています。
ストレスで血流が悪くなると、細い毛細血管へ血液が流れなくなり、髪に必要な酸素と栄養分が運ばれずに白髪や薄毛の症状が現れます。
それほど精神的なストレスは、血流に大きな影響を与えているということなのです。
睡眠不足
睡眠不足や眠っていても睡眠の質が悪い人は血流も悪化する傾向にあります。
睡眠は疲労した体の組織を修復するための生体機能です。
睡眠はすべての体の働きに影響を及ぼし、”血流”の良し悪しにも深く関係しているのです。
また、上で解説した「ストレス」にも睡眠は深く関わっています。
寝不足したり、睡眠の質が悪いと脳が休まらずに自発性のストレスを作り出してしまいます。
この記事のまとめ
日本人の食生活が欧米化したことで、ここ数十年で血液と血管の病気が何倍にも増えています。
私たちが毎日食べている食事には、血液と血管に対して毒となるものもあれば薬となるものもあるのです。
そのためにも、血流改善効果のある食べ物を意識して摂取するようにすることをおおすすめします。
加齢とともに日々衰えていく血液と血管を健康に維持していくことが、生活習慣病を含む病気にならないための基本であるとということを覚えておきましょう。